〜 11月便り 〜

 11月1日  蔵入り。
不思議なことにその途端、今年は暖かい秋だなと思っていたのが、一気に肌寒くなり空気がピリッと引き締まってきました。「自然」も杜氏さんの蔵入りに合わせてくれたのでしょうか。やはり秋は秋らしく。そして寒〜い冬に向けて。そうでなくては美味しいお酒も出来ません。お米を蒸す香りが辺りいっぱいを満たすのも、もう間もなくです。

 最近、主人の仕事部屋の大掃除をしました。お酒の仕込み計画が始まってからというもの、書類は山積み、ビンは散乱。あああ・・・。その時ふと見付けた小さな箱。そこには石で出来た立派な落款(「らっかん」 はんこのことです)のような物が入っていて、何やら不思議な文字が刻まれていました。“中国のお土産かしら?”などと思いながら片付けたのですが、その三日後、一人の男性がお店に来られました。その男性は迷わず「王道」を選ばれ、“このお酒のラベルにある落款を作ったのは私の父です。”と!そう、あの時の落款です!何という偶然でしょう。その男性が北島へ来られたのは(しかも静岡から)初めてとのこと。箱から出されて十数年ぶりに外の光を浴びた落款が、息子さんを呼び寄せたのでしょうか。 ― この落款、「乙亥初春」という言葉が彫られているそうです。来年は亥年なので、彫られてからちょうど12年経つのでしょう。一枚のラベルにも色々な方の手が加わっているのですね。
 
さて、裏の紅葉も色づき始め、秋本番となってきました。芸術の秋、読書の秋、色々ありますが、私にとって一番縁遠かったのがスポーツの秋。ですが今年はちょっと(だけ)違います。日本ハムファイターズ新城選手の引退会見、何だか感動して見入ってしまいました。と言いながら野球のことは、選手名はおろかルールすらほとんど知らないのですが・・・。中学の時の国語の教科書に載っていた「クロスプレー」という物語を「黒いスプレー」の話だと思っていた私。物語中の試合の場面がさっぱり理解できない私に、先生とクラスの男の子達が1時間使って野球のルールを説明してくれたのを思い出します(すみませんでした・・・)。その時の皆の楽しそうな顔といったら。“国語の授業中に大好きな野球の話が堂々とできる!”と、いつもの授業にはない盛り上がりでした。恥ずかしい馬鹿話はさておき。そんな私が唯一(見るのが)好きなフィギュア・スケート。昨年のオリンピックのおかげでにわかに人気が出て、今年は今まで放送されることのなかった大会などもテレビで見られるようになりとても嬉しいです。スケートもシーズンに入りました。そしてお酒の造りも始まりました。今年はどんな試合が見られるでしょう。そしてどんなお酒ができるでしょう。

11月10日(金) TOMO 記



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