〜 7 月便り 〜


 
 どしゃぶり続きの7月。皆さん、いかがお過ごしですか?
この大荒れの「海の日」、弁財天様へお参りに、琵琶湖の北の竹生島(ちくぶしま)へ行ってまいりました。さてここで、滋賀県の地理について少し解説を。滋賀県はご存知のように県の真ん中に琵琶湖が位置しており、その東西南北を湖東、湖西、湖南、湖北と呼び、北島は住所が湖南市(旧・甲賀郡甲西町と石部町の合併による)というように、湖南に属します。この竹生島や長浜は、湖北、北近江と呼ばれる地域で、甲西からは結構遠く、あまり行く機会に恵まれませんでした。
滋賀へ嫁いで早や5年。しかし滋賀は未だ私にとっては「未知の地」で、心のどこかがしっくりと来ず(滋賀県の皆さん、ごめんなさい)・・・。 が、大雨の北近江の地を歩いて、「お、私、滋賀が好きだ!」と。とっても良い所でした。私のような滋賀県初心者の方、ぜひ東西南北制覇してみましょう。きっと色々な面が見えてきますよ。

8月初旬、北島から久々の新商品が出ます。その名も「純米渡船(わたりぶね)」。
最高の酒米といわれる山田錦の親品種にあたる「滋賀渡船六号」を使った純米酒です。この「渡船」、明治の時代にはここ湖南地方を中心に作られていましたが、背丈が高く病害虫に弱いなどの理由から栽培が非常に難しく、昭和の始めにはその生産が途絶えてしまい、文献に残るだけの幻の酒米となっていました。しかし、滋賀独自の酒米の復活を、と熱意を持った方々のおかげで、農業試験場に保存されていたわずかの種もみから少しずつ少しずつ収穫を増やし、昨年ついにお酒を仕込めるだけの量を収穫できるまでになりました。明治に生まれ、大正を経て、昭和初期に姿を消した幻の酒米が、数十年の時を超えて平成の御世に生まれ故郷の滋賀の地に蘇ったのです。 どこかで聞いたような話? ― かの有名な酒造りマンガ『夏子の酒』ですね。でも、この「聞いたような話」を実現させるのは、並大抵のことではないのです。
去年の秋のことでした。北島の創業200周年記念祝賀会でのことです。酒米を作って下さっているSさんとお会いした時の最初のひと言 ― 「出来ましたよ、やっと!」。幾分上気して見えたその顔は、決して宴会のお酒のせいではない興奮と喜びにあふれていました。「本っ当に、大変やったんですわ。でも、やっと出来ました。見て下さい、今度持って上がりますから。」そして数日後、Sさんは見たことも無いような長い長い稲穂を大事そうに両手に持って来られました。宝物の刀でも持つようにして。
そんな大切なお米だからこそ、できるだけ削らずあえて精白を抑え、お米の持ち味を活かすよう、このお酒は造られました。特筆するような華やかさは決してありませんが、どこかほっとするような、この素朴な味わいを楽しんで頂けたらと思います。

7月18日(火) Tomo 記



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