〜 12月便り 〜


 お酒の美味しい季節がやってきました。年末年始、何かとお酒を飲む機会の増える方も多いのでは。世には様々なお酒があふれていますが、この時季にはぜひ、出来立ての新酒を味わって頂きたいものです。

  「新酒」という言葉は、特にお酒に興味の無い方でも耳にされたことが多いことと思います。しかし、ワインの新酒ボジョレー・ヌーボーのように騒がれはしないけれど、日本酒でこの新酒の出来上がる日というのは、私たちにとってとても特別で、期待と不安を持ちながら、本当に心待ちに心待ちにしている日なのです。知られていそうで実はあまり知られていませんが、日本酒には四季があります。実りの秋、美味しい新米ができてお酒の仕込みが始まり、秋に仕込んだお酒が冬には「新酒」として世に出て、その印として蔵には真新しい杉玉が掲げられます。そして秋には、1年の熟成を経てまろやかになった「ひやおろし」と呼ばれるお酒になるのです。確かに現実は、旬の野菜が年中食べられるようになったり、お正月でもお店が開いていて年末の買いだめやおせちの必要がなくなったり、と季節感が薄らいできたとよく言われます。しかし、茶道での茶室のしつらえを見ても、華道での花活けを見ても、日本の繊細な四季の移り変わりが感じられます。身にまとう着物の柄は、季節を少し先駆けするのが粋(いき)とも言われます。四季を追いかけ、四季に追われて生活する日本の暮らし。365日、とどまることの無い時間がひたすら流れていく中、この大晦日・お正月で一区切りを付け、人は心のリセットをするのでしょう。

  この頃私たちに季節を意識させるもう一つのものが、「酒粕」。粕汁料理などが知られていますが、「なんだかドロドロしてて臭くて・・・」と実は粕汁が苦手だった私。ところが、ここへ嫁いで飲んだ粕汁は「あら、おいしい」と目からウロコ。お酒をしぼった後の残った物がこの粕なのですが、スーパーに並んでいる機械で完全に搾り切った後のカチカチの物とは違い、北島の物はもう少し柔らかめ。杜氏さんが「うちは粕屋じゃない」と思わずぼやいてしまうほどの実は隠れた人気商品です。時たま「前に食べたのと味が違う」ということを言われることもありますが、例えば「しぼったそのまま一番酒」をしぼった粕と「近江米のしずく」をしぼった粕とでは味が違うのも当たり前。そしてお酒と同じく、その年の出来によって粕もまた味が変わります。北島はあくまでも粕屋ではなく酒屋。どうかこの点は皆様ご了承頂けたら、と思います。血液サラサラ効果など、食べる効用も有名ですが、酒粕パックや酒粕風呂など、美肌効果も抜群。ぜひ一度この粕のパワーを実感して頂きたいと思います。

今年もあとわずか・・・。どうぞ皆様良いお年を。

12月19日(月) Tomo 記



(C)KITAJIMASHUZO