〜 10月便り 〜


 10月だというのに昨日は真夏日だったとか。しかし残暑(?)厳しいといえども、もう秋。この時季になると、気持ちの奥が少しずつざわざわとしてきます。蔵人さんがやって来られるのももうすぐ。そろそろ心も体も秋冬モードに切り換えねばなりません。

まだ正式には発表していないのですが、来月、新しいお酒の発売を予定しています。名前は『つきいっぱい』。今年迎えた創業200周年を記念して造った特別限定酒です。この大切な節目の年を第一回目の発売年(限定数量2000本)とし、これから毎年の発売を予定しているのですが、私たちにとってこのお酒が、新しい時代を歩みゆく最初の1本となります。

日本酒の世界では通常大吟醸が最高のお酒とされていますが、これは大吟醸酒ではありません。(日本酒は酒米の外側を磨いて中の芯の部分を主に使って造られるのですが、大吟醸というのは、それを5割以上削って造られたお酒のことをいいます。お米をそれだけ贅沢に使っているのです。)しかしこれは、JAS認定有機無農薬の最高の「山田錦」をあえて少量しか削らず、お米の持つ自然の力、美味しさを『もっと「そのまま」に、さらに「そのまま」に』生かすよう造られました。 そしてもう一つ他のお酒と違うのは、このお酒の造りには、普段は全く酒造りに加わらない事務員さんから配達員さんまで、北島の全従業員が必ずどこかで参加をしているということです。それこそ、初心に戻って全員心を一つに …です。

 このお酒、10月3日現在、実はまだ出来ておりません。中のお酒は完成しているのですが、それを包む衣装となるお化粧箱がまだなのです。皆さんは、お酒の箱やラベルがどのようにして出来ていくのか考えられたことはありますか?デザイン会社の方に書いて頂いたり、有名な書家の先生に書いて頂いたりした物もありますが、ここ数年に発売した2つの特別限定酒、そして今回の『つきいっぱい』 ― これらの絵や字を書いて下さったのはKさんという、日頃からとても良くして頂いている普通の主婦の方です。(これだけ素敵なものが書ける方に、普通と言うのもおかしいですが。)この字、絵からパワーを受けて、色々と相談させて頂きながら色や柄をミリ単位で調整していき、これらを商品として形にしていきます。あとは仕上がりを待つばかりなのですが、横で見ている私も正直ハラハラ。「その日」まで楽しみ半分、不安半分です。

 山あり谷あり200年という月日を越えた、北島にとっての『つきいっぱい』。あせらず急がずじっくり月日をかけて熟成させた、お酒にとっての『つきいっぱい』。そして、皆様のこれからに良いことがいっぱいありますように、良いツキに恵まれますように、お客様にとっての『つきいっぱい』。どうかこのお酒が、皆様に心の安らぎや喜びを運ぶ、そんなお酒になることを、今はひたすら毎日毎日お祈りしております。

10月3日(月) Tomo 記



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