〜 9月便り 〜


 私は週に一度、土曜日だけ、店番としてお店に入っています。日々小さな子供の世話に追われる身では、以前のように毎日お店に就くことは出来なくなってしまったのです。また、内輪話になりますが、お酒の仕込みも出荷も冬に集中する酒造業では、忙しい秋冬には従業員さんにほとんど休み無しで頑張ってもらわねばならないため、その分、比較的暇な春夏の間にお休みを取っていただくよう、春と夏の土曜は家族の者だけで店番をしているのです。北島の事務員さんは、長い方では勤めて数十年、など、大ベテランの方もいて、昔からのお客様がふと土曜にお店に来られたり、お電話をかけてこられたりすると、「いつもの人は?」なんて聞かれることもしばしば。そんな時は内心思わず「はあー」とため息をついてしまいますが、最近では、お仕事の関係などでいつも土曜日に来られるお客様に顔を覚えて頂いたりして、「頑張るぞ」と元気をもらいます。家の者一人、二人だけでの慣れない留守番で、もたもたと手間取ってしまうこともあり、こんなことではいけないと、反省しては改善、の繰り返しです。

 お店に入っている時に、変わったネーミングに、「このお酒はどんなお酒?」とよく聞かれるのが『酒は男を磨く水』。やたらと低い日本酒度に、高めの酸度。そして何だか水っぽい。・・・これが初めて飲んだ時の私の感想。ウソの付けない私は、お客様に尋ねられた時でも、「このお酒はとても個性的な味なので好き嫌いが分かれます。」と答えていました。(実際、苦手な方はとことん苦手。好きな方はもうこればっかり、です。)
ある夕食時、いつもこう答える私を見ていた主人が、「これを飲んでみろ」と小さなグラスを差し出しました。鼻を近付けてみると何だか覚えのある香りが。疑いの目を向けながらひと口飲んでみると、あら美味しい。私の表情の変化を見た主人がひと言、「やろ(美味しいだろう)?」と。お酒にはお酒だけで味わうタイプのものと、お料理と合わせて楽しむタイプのものとがあり、『酒は…』はまさに後者のタイプだったのです。ひと頃は酒米をどんどん磨いて(削って)精米歩合の高さを競うような風潮がありましたが、そんな時代にあってこのお酒は、あえてお米をほとんど削らず、お米の旨みや栄養をたっぷり残したのです。米に康らか(健康)と書いて糠(ぬか)というように、糠を捨てずに健康に良い、美味しいお酒を、と造られた純米酒。この変わったネーミングは、「米を磨かず男を磨け」という意味から付いたとか。一見アンバランスにも感じる酸度は、お米の成分から。アルコール度がやや低めなのは、お食事に合わせやすいように。少し小振りな美しいブルーの瓶が目を引く500ml入と、カップ酒とはまた違うお洒落なデカンタ瓶の180mlの2種類があります。(『へんくつ』という名前で一升瓶もございます。)興味を持たれた方、ぜひ一度お料理と一緒にお試しになってみて下さい。


9月14日(水) Tomo 記



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