〜 6月便り 〜


  季節の花を生ける以外、ほとんど変わることのない店内ですが、珍しく少しの模様替えをいたしました。先日、北島に古くからある道具蔵を大掃除していたところ、先代か先々代くらいの物であろうと思われる古い着物や帯が出てきたのです。アンティーク着物が流行の昨今、その大胆な色使いや柄行きがとてもおもしろく、義母のアイディアでお店に飾ることになりました。気付く方がいらっしゃるかどうか・・・、というくらいのわずかな模様替えですが、蔵の奥で何十年もの間眠っていたものが、今こうやって現代の空気を吸って目を覚ましているのか思うと、なにか不思議な気がいたします。

 店内にはその他にも色々な物が置かれています。本年の1月だよりで紹介させて頂いた、お客様から戴いた絵などに加え、いくつか焼き物の器が飾ってあります。これらのほとんどは地元の焼き物である下田焼きや信楽焼きの物(時たま、旅行で買い求めたりお土産で頂いたりした他地域の物もありますが)。入り口脇にある木の枝で出来た鉢置きは、バザーで買ったご近所さんの手作り。お会計時に使っているつり銭盆は、これまた近くの工房さんが作っている、一貫張り(いっかんばり)の物。北島は地酒のメーカーとして、地元に密着しているのです。

 また、お店にいらしたお客様によく聞かれるのが、(店内に掛けられている書を指差して)「これは何て書いてあるの?」ということ。これを機にご紹介しましょう。お酒の見本の上に掛けられているのは「心」。その向かい、仏間に向かって目に入る衝立は「素誠」。この方には「無円相」というお酒のラベルも書いて頂いています(あの『○』の書いたお酒です)。その上は「道上無」。これ以上の道は無い、という意味だそうです。その他にも地元の書家の先生の書かれた物などもあり、たまにお客様の方から「これは○○先生やね。」とおっしゃられることもあります。

 話し変わって、先月、高校時代にお世話になったアメリカ人の友人が滋賀まで遊びに来てくれました。これまでにも数回は、お互い行き来して会ったことはありましたが、家まで訪ねてくれたのは今回初めてのことでした。日本でしばらく生活したこともある日本通の彼女らですが、北島の店内や家の仏間などを見てひと言。 ― 「今まで訪れた中で一番日本的な所!」 ― 昔話に出てきそうな古い蔵が実在していたり、家や蔵のあちこちに神棚が祀られていたり、生粋の日本人の私でも、お嫁に来た頃ある種のカルチャーショックがあったぐらいです。ましてアメリカ人の彼女らの目に、そう映るのも無理はないかもしれません。あなたもどうぞ一度お越しになってみませんか?
 

6月15日(水) Tomo 記



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