〜 3月便り 〜


 夕方5時を過ぎても子供が公園から帰りたがらないほど、日が長くなってきました。北島は駅から歩いて5分の旧東海道沿いにあるのですが、街灯もあまりない田舎で夕方にはもう真っ暗。つい先日まで従業員さんは、懐中電灯なしにはその駅まで帰れない程だったのです。裏のお宮さんには桃の花。明日はお雛祭り、もう春です。

  さて今月は、樽酒の話を二つ、させて頂きたいと思います。一つ目は海を渡った酒樽のお話。先日、十四代目の机にふと目をやると、鏡開きの模様を写した写真が数枚ありました。でも何だか少し雰囲気が違う。ハッピを着て小槌を手に持っているその人は、金色の髪の外国の方だったのです。訳を聞くと、場所はなんとポーランド。とある建築工事での起工式典にと樽とマスのご注文を頂き送ったところ、ご丁寧にその模様の写真を頂いたとのこと。嬉しそうにハッピを着てポーズをとっていらっしゃる建築施主のポーランドの方のお顔がとても印象的でした。

  もう一つは結婚式のお話。海外挙式やハウス(邸宅風)ウェディングが人気の今、ありとあらゆる物が洋風になり、「個性派和婚」も増えつつあるとは言え、以前のように鏡開きをされることは少なくなってきました。そんな中、勤めていた頃の友人が、「御代栄」の樽で鏡開きをしたい、と言ってくれたのです。そして先日、彼女の夢がいっぱい詰まったその結婚式は挙げられました。使ったのは通常鏡開きに使われる大きな2斗樽や4斗樽ではなく、小ぶりの1斗樽。ウェディングケーキに入刀でもするように、小さく“ちょこん”と樽を小槌で叩く様子はとても可愛らしいものでした。シャンパンも良いけれど、やっぱり“日本酒で乾杯”です。その樽はその後、出席した友人皆で寄せ書きされ、今は新居に飾られているとか。そうやって使ってもらえたこの樽は本当に幸せ者です。


― 桜づくしの会場に桜づくしのお衣裳、とても可憐でした ―

  鏡開きには、新たな出発や区切りに際し、健康や幸福を祈願する意味があるそうです。そして、「栄える」から、「栄え水」、「栄え」から、「さけ」へと転じ、酒を使うようになったとか。「御代栄」(みよさかえ)の文字のごとく、ポーランドの会社の方々の将来も、新しい家庭を築き上げるお二人の今後も、どうかどうか御代栄(ごだいさかえ)ますよう、心からお祈りしています。

2005年3月2日(水) Tomo 記
 



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