〜 5月便り 〜


 今年もいつものツバメがやって来ました。いつの頃からか蔵の窓に巣を作り、この季節になると決まってどこからかやって来るのです。毎年のこととは言え、蔵の外壁を汚されてしまったり・・・と、「あら、かわいいわ。」で済むことばかりではないのですが、それでもやはり、かわいいヒナがピイピイと精一杯大きな口を開けてえさを求めたり、少し大きくなり、ふらふらしながらも飛ぶ練習を始める様を見たりすると、今年も無事来てくれて良かったな、と思ったりするのです。酒蔵に住む(?)このかわいいツバメの赤ちゃんが、巣立ちの日を迎えるのももうすぐでしょうか。

  さて先日、以前からずっと行きたかった滋賀県立近代美術館へようやく行ってくることができました。お目当ては「志村ふくみの紬織り」展。恥ずかしながら、志村さんが滋賀県ゆかりの方と知ったのはつい数年前、滋賀へ嫁いできてからのこと。それまで私にとって志村さんは“国語の教科書の中の人”。確か中学校の国語の教科書に掲載されていた大岡信さんの随筆の中で、志村さんが桜の色を染め上げる時のエピソードが載っていたのですが、それがとても印象的だったのです。

  色と言えば、お酒のラベルの色もまさに色々。これが本当に難しい。なかなかこちらが頭に思い描いている色を印刷屋さんに上手に伝えることが出来ません。仮に運良く色見本などで気に入った色が見付かっても、紙質が変わったり、ラベルとしてその色の上に字をのせてみたりすると、それだけで色の印象は変わってきてしまうのです。印刷業者さんには言いにくいのですが、注文したはずの色とは微妙に違う色で仕上がってきたこともありました。色はそれほどに数多くのごく微妙な要素がからみ合い、言葉に表現することも出来ないくらいかすかだけれど、それでいて確実に私たちの五感にはっきりと何かを訴える強い力を持っているのでしょう。志村さんの作品は、その豊かな色彩はもちろん、それぞれに付けられた作品名もとても美しく、非常に興味深いものでした。

いつの日か、この日見たような繊細で美しい“いろ”を持つお酒を世に出したいと考えています。さてどんな“いろ”になるか、どうぞご期待下さい。

2004年5月12日(水) Tomo 記
 



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