〜 9月便り 〜


琵琶湖を臨む滋賀県は、全国でも有数の米どころです。ここ甲賀地方も近江の米どころのひとつ。
その甲賀でも、あちらこちらで稲穂の頭(こうべ)が垂れているのを見かける季節を迎えました。

今年は天候不順が災いして、全国的にコメが不作とか。
私たちの主食であるお米が値上がりとあっては、家計も気になるところです。私たちが日常食べるお米が値上がりするということは、やはり酒米も値上がりします。しかし当然品質を落とすわけにはいかないので、今年はほとんどの蔵元さんが頭を悩ませていることでしょう。皆さんはご存知でしょうか?実は数多くある酒類の中で、原材料に最もお金が掛かるものの1つがこの日本酒なのです。

北島酒造では、契約農家の方にお願いして作って頂いた減農薬栽培のお米を使用してお酒を仕込んでいます。酒米にも山田錦などに代表されるような有名ブランドの酒米も沢山あります。それももちろん素晴らしい。ですが、顔の分かる、信頼できる方が一所懸命作ってくださったお米も、それに勝るとも劣らないと私たちは確信を持っています。『地産地消』―地元でとれたお米を使い、この地に流れる水を使って醸(かも)し出したものが、本来の意味での地酒の姿であると私たちは考えます。
 
閑話休題
日中は夏が戻ってきたかのような厳しい残暑が続いています。しかし陽が傾き始めると、アキアカネが飛び交い、辺りには秋桜もちらほらとそのしとやかな姿を風に揺らしています。なんだか夏と秋が同居しているみたいですね。さあ、これからお酒が美味しい季節に迎います。美味しいお酒を毎日少しずつ。これが健康の秘訣です。どうぞ皆様も体調を崩されないよう、お身体ご自愛くださいね。


TOMO
2003年9月2日(火)


〜 10月便り 〜



お天気の良い日に、子供をベビーカーに乗せてお散歩へ出るのが日課になっています。
今日は気持ちの良い風の吹く日で、どこからか金木犀のやわらかい香りが風にのってやってきました。

“あー、秋だなあ。”優雅に季節に感じ入るのもつかの間、“ハックション!”。

まるでマンガのようなくしゃみが止まりません。そうです、秋の花粉症に苦しむ今日この頃。
スギやヒノキなどの春の花粉症ほど名は知られていませんが、キクやブタクサ、イネなどの秋の花粉症は、今がピーク。自然がいっぱいのこの地では、どこへも隠れようがありませんね。
 
さて、先日蔵人さんから、沢山の梨と、なすやかぼちゃなどの野菜が届きました。蔵人さんは仕込みのない春・夏の間は地元の香住(兵庫県北部)でお百姓さんをしていらっしゃいます。おいしい秋の恵み、皆で仲良く分けさせていただきました。有難うございます。

その蔵人さんが、とうとう今月の26日に蔵入りされることが決まりました。良いお酒ができますように、と縁起をかついでいつも大安の良い日にこちらへ来られます。そして春先まで約半年もの長い間、お酒の仕込みに打ち込むのです。

蔵人さんを迎え入れる準備などで、にわかに活気付いてくる頃、貯蔵蔵(ちょぞうぐら)で眠っているお酒は、1年の時を経て非常にまろやかな味わいへと変化をしています。この熟成されたお酒を「ひやおろし」といい、フレッシュな味わいの新酒とはまた違う、この季節だけのお楽しみです。北島酒造でも、県内の百貨店さんなどでこの「ひやおろし」の量り売りを行なうことがあります。お見かけされた方、ひやかしでも大いに結構、ぜひお味だけでも見てみて下さいね。


TOMO
2003年10月2日


〜11月便り〜



 お気づきになられた方、いますでしょうか?店内のBGMが演歌に変わっています。酒の仕込みのため蔵人さんが来られると、蔵中に演歌が流れるようになります。私たちは毎年、この演歌を耳にするようになると、“ああ、いよいよだな。“と身を引き締めるのです。演歌は蔵人さんたちのお気に入り。蔵人さんはこの演歌を聴きながら、酒を仕込んでいきます。よくクラシック音楽などを聴かせて熟成された酒、というのを目にすることがありますが、御代栄はさしづめ演歌仕立てとでも言いましょうか。

 ここ数年、紅葉のシーズンがどんどん冬にかかってきているように感じます。一番の見ごろが12月初め、なんていう所も少なくないのではないでしょうか。この時期ちょっと悩むのが、「四季の酒」の衣替え。御代栄には「四季の酒」という酒があり、当然ではありますが、春・夏・秋・冬の4種類があります。実はこれらのお酒、中身は全て同じお酒。しかし、決してインチキではありません。大切に大切に貯蔵されている蔵から、春にお出しした味、夏にお出しした味・・・、と熟成期間等の違いから現れるそれぞれの微妙な味わいを楽しんでいただこう、というお酒なのです。
北島酒造では立春、立夏などを一応の区切りとはしていますが、長い日本列島のこと、地域により季節も様々で、2種類置いている期間もけっこうあります。今、店内にディスプレイしているのは「秋の酒」。紅葉前線がようやく聞かれだした頃ではありますが、来週の立冬には、その横に「冬の酒」が並びます。日本酒が恋しくなる季節も、もうすぐですね。

 11月20日木曜日 ― 何の日か分かりますか?一時ほどあまり騒がれなくなりましたが、今年のボジョレー・ヌーボー解禁日です。空輸されたフレッシュなワインを、一分一秒を争って我先に、と人々が大騒ぎする光景をニュースで目にしたのは 何年前でしょう?日本酒にもそのような解禁日があっても、おもしろいかもしれませんね。


TOMO
2003年11月1日(土)


〜 12月便り 〜



 12月です。私が北島へ嫁いで来てから、3度目の12月がやって来ました。冬は皆さんご存知のとおり、酒の仕込みの時期でもあり、最も日本酒が美味しく感じる季節でもあります。その、私たちにとって超多忙期である冬の中でも、12月というのは特別な意味を持ちます。とは言っても、どう特別なのか説明するのは何とも難しい。とにかく、何と言うか、この一ヶ月がまさに正念場、身も心も引き締まるのです。

 この季節、忙しいのは私たちだけではありません。師走に忙しいのはどこも同じではありますが、私たちの忙しさと比例して、運送屋さんも、猫の手を借りても足りないほどの忙しさとなっていきます。

 「お歳暮」という日本の伝統は、薄れつつあるとは言え、やはりお世話になった方へ心を伝えるための、日本伝統の真心こもった感謝の表現方法の一つであると思います。(かのトム・クルーズさんもこの伝統が気に入って、字幕翻訳家の戸田奈津子さんにお歳暮を贈っているとか。)この時期、「お歳暮に…」とご来店くださる方が増えますが、その大切な大切な贈り物に、御代栄の酒を選んで頂けるのは本当に光栄なことです。お客様が心をくだいて選ばれたお酒を、私たちは心を込めて包装していきます。

そしてそれを、毎日毎日、それこそ雨の日も風の日も、時には雪の日も、引き取りに来てくださる運送屋さん。ほとんどいつも決まったドライバーさんなのですが、どんなに忙しい時でも、「おおきに!」と笑顔で来られるその姿には、本当に頭が下がります。そして、お選びくださったお客様の心はもちろん、酒米を作ってくださった農家の方や酒を醸した蔵人、仕上げ(ラベルを貼ったり、リボンをかけたり)をした社員の私たち皆の心を乗せて、先様の所まで大切に運んでくださいます。

 一つの贈り物には、こんなにもたくさんの気持ちが詰まっているのですね。どうか皆様にも、この気持ちが伝わりますように・・・。そして何より、私たちのこの酒で、ほっとくつろいだ、幸せな時間を過ごして頂けると、こんなに嬉しいことはありません。


TOMO
2003年12月3日(水)



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